all things must pass

記録と備忘録による自己同一性の維持を目的とするものです。

5/10 続、元号のこと (5/31訂正)

はてなからのアクセス来てますぜメールに促されて自分のブログを見に来てみれば、アレ3/7以来何も書いてなかったんだっけ?そうかもしれない。腰に神経痛が出て立てなくなったり(老後に備えたリフォームをしててよかった!)、アレで何か書けたらそれはそれでスゴイなあ、と思うくらいのアレになってみたり、と七転八倒の二ヶ月だったからね。

  

 

さて、見に来たついでに、ほったらかし(投げっぱなし)であった元号のことをちょっとだけ書いておこう。この二ヶ月の間にも更なる情報が投入され、だいたい話の帰結も見えたことだし。

 

まず新元号の発表は、来年の2月24日以降となることが確定したのですね。すると対応に要する時間は、最長で二ヶ月。

さて、二ヶ月でシステムに対して出来ることは何か。予め判っている修正箇所に対して新元号の文字列を入れることはもちろんOK(①)。しかし、だからと言ってそれでOKとならないのは当然で、動いているものに手を入れたら修正確認は必須(②)。今回のような場合、プログラム修正よりも確認の方がコストを食うだろう。うん、確かにそれだけでは二ヶ月かからないんじゃないかな。

自分でシステムを作るユーザーも希になった2018年においては、多分誰かが(ITやさんが)システムを作ったり、メンテしているのが普通だ。だから、新元号対応のためのプログラム修正を完了させたと業者が言ってくる時の事は考えておくべきだ。もちろん彼らは自分達で修正結果の確認を済ませている(だろう)。では、それを鵜呑みにする?まともな会社ならそんなことはしない。受入確認というのをやる。大まけにまけて、業者がやった修正確認の結果データをチェックするにとどめるかもしれないけど、なにしろ検収作業をするのが普通だ(③)。さらに時間が溶けていく。それでも、受入側の事前の準備がちゃんとしてれば、二ヶ月の枠でやりくりするのは十分可能だ。

 

では、リアルに向かってもう一ひねり。新元号を扱うそのシステム、元号処理自体は外部から調達したライブラリやミドルウェア(※)で行われていると考えてみよう。西暦/和暦の変換ルーチンなど、それぞれのシステムがロジックを抱えるなどというのは(車輪の再発明という意味で)馬鹿げている。普通のシステムなら、かなり当たり前の話だ。

ミドルウェアの説明を懇切丁寧にしようと思ったけど力尽きてしまったので、知らない人は各自ググってクダサイ。

ライブラリ/ミドルウェアの修正処理(①’)と確認(②’)が終わると、対応成ったライブラリ/ミドルウェアが、その利用者である実際のシステム側に配布される(④)。そこからがシステムの動作確認の始まりだ。

つまり①+②+③+④の期間で新元号対応ができる訳ではなくて、場合によっては①’+②’+④+①+②+③や、①’+②’+④+②+③の期間が必要になる可能性があるのだね。さて、これは二ヶ月の枠に収まるのだろうか?

 

もちろんこんなことが判らない程、お役人はバカな訳ではない(政治家はバカかもしれないけど)。判っていて、その事をほったらかしにしているのだと思われる。何故か。

実は新元号対応処理の仕事は、既にばりばりと発生していて、IT屋さんの忙しさに輪をかけている。なぜそんな事が可能かといえば、今発生している新元号対応というのは、和暦を使うのを辞めて全て西暦に倒すという仕事だからなのだ。なのです。

本来ならば有ったはずの時間的な余裕をバカな政治家達が無為にすり潰した結果として、和暦とお別れすることをワレワレ下々は決意しております。さようなら和暦、もう君を構っている暇は無いんだ。そんな感じの仕事がアチコチでうごめいている。

 

まとめればこう。

元号の対応は簡単で、二ヶ月もあれば十分、という政治家の馬鹿な発言は、お役人がレクをしないからだろうし、なぜしないかといえばこの期に元号離れを加速させようとする意図がお役人にあるからだろうと睨んでいます。

まあ、良いんじゃないでしょうか。こうやって、本邦固有の事情というのは少しずつ解消されていくのです。

 

ホントに? 多分ね。

 

 

追記

ほったらかしのブログのアクセスが動いたのは、TOTOの延長保証について述べたエントリが何故だから引っかかったからなのでした。

泡沫の世界だと、思わぬモノの擾乱を受けますな。ミクロの世界だと支配的な力が変わるというアレっぽい。

 

 

追記2

あ、テクニカルな話を書くって宣言してたんだった。ザックリ書いておく。

日本国政府が出来てからの元号は、㍾、㍽、㍼、㍻のように組文字表現の字形をもっている。これらの文字コードは扱いやすいように連続した領域に割り当てられてる。ところが、㍻の次に空き領域がないので(すでに別の文字が割り当てられているので)、新元号の組文字は全然別の文字コードに割り当てられることになる。まさかとは思うけど、元号組文字の文字コードの連続性に依存しているプログラムがあると、そこは単に定数を変えるだけでは済まないので面倒な事になる。頑張って直せよー。

でも、もっと笑っちゃうのが、いつか天皇が変わるのは自明なんだから元号組文字の領域ってリザーブを10文字(10世代分)くらい押さえておくという智恵は無かったのかね、ということだ。それとも元号が変わることを想定してアレコレやるというのは不敬な事なので避けたのかね?まさか?

 (5/31訂正)

上の打ち消し線のところ、事実誤認でございました。お詫びエントリをあげたので、詳しくはそちらを。

septiembreokbj.hatenablog.com