all things must pass

記録と備忘録による自己同一性の維持を目的とするものです。

8/5 Eat. Race. Win.

http://amzn.asia/9GbnSiO

 

... 何のURLか判らんね。

 

www.amazon.com

これの日本語字幕版全6話がAmazon Primeにいつの間にかリストされていたので、この週末に固め見した。

 

内容は、2017年のツールドフランスにおけるOrica-Scottチームの23日間、21ステージを、①.選手と、②.ディレクションと、③.料理人の3つの視点から語るというドキュメンタリー(※1)。この年はサイモン・イェーツに新人賞を取らせることができたので一応形がついたが、もしロケが2018年だったら番組として成立しなかったのでは、と思われる。同チーム(※2)は今年良いとこ無しだったのだ。つまり制作サイドからすると「危険」な企画であって、場合によってはロケがすべて台無しになる可能性があったのだ。

※1 じつは別の構造があるのだけど、それは後述。

※2 今年はチーム名もちょっと変わってMitchelton-Scott 。

 

その分、各回の最後の引きの強さは只事では無い。実際のレース展開の山場を各回の最後に持ってきて、手に汗握らせておいて、では次回、とやれてしまうのだから。2017年のツールを真面目に見ていた人でも、選手とディレクターの両面からレースを見せる構成はたまらぬモノがある、と思う。選手とディレクターが激しくせめぎ合いをするさまには、ワタクシも心を鷲掴まれました。

 

チームとしての獲得目標を立て、その実現の為に選手に戦術的な指示を出し(※3)、エースの結果をチームの成果として共有するように場を作り、叱咤し、激励し、鼓舞し、そしてチームをシャンゼリゼまで連れて行くディレクターの振るまいは、最近はやりのリーダー像とは全く異なるもので、しかしツールのディレクターはこうでなければ、と思わせる。手持ちのリソースを使い切って(※4)、その中での最大限の成果をしぶとく狙い続ける意思とその発露がなければ、ツールのチームは統率できないのだ、と。そして選手は、ディレクターの指示に従い、蓄積され続ける疲労に耐えつつゴールを目指す。出来ることもあれば、やれない事もあり、ステージが進むにつれて、顔には疲労だけではない表情が浮かんでくる。

そして、そんなチームが前に進むための力を供給しているのが Eat. なのだぜ、というのがこの作品のもう一つの主題だ。

※3 字幕では戦略と出てたけど、ディレクターは明確にtaciticalとかtacticと言ってましたぜ。そういうのって困るなあ、と思う。言葉を間違って覚える子供とかが出てきたらどうするつもりなんだろう。

※4 と書くと選手を使い潰すように思われるかもしれないが、そこは恥ずかしい日本の人たちと異なり、ドクターと相談して、選手生命に関わるような事はさせていない。

 

ところでツールを走る選手には、ただ速い以外の才能が要求される。一つは回復力、もう一つは胃腸の飛び抜けた強靱さだ。レースで消費する7000Kcalと、基礎代謝の1000強Kcal、その合計である8000Kcalを摂取しつづけなければならない...もちろん、経口で、食物の形で。食べる側の才能だけではどうにもならないと、近年のツールでは食べたくなる、食べるとよりよい効果が得られる、そんな食事を供せる料理人チームが帯同するようになっている。この作品の Eat. の部分は、チームの勝利に貢献するために参画している料理人チームの23日間の記録だ。

ツールの激しさ、厳しさという太い幹であるRaceパートの裏側でEatパートは進む。Raceパートと交錯するのは食べるというシーン一点のみ。選手がレースをしている間、料理人チームは行く先々で食材を採取し、レースが終わった選手を迎える料理を作り、供する。その繰り返しに何を見るかがこの作品の評価の分かれ道なのだと思う。フランスー、農業国ー、製造者-、意識高いー、という見方はもちろん出来るし、単にうまそう、でもOk。

しかし選手とディレクターが構成するRaceパートとパラレルに、Eatパートにおいても設定した目標の達成にむけてスタッフとシェフのせめぎ合いが展開される。もちろんRaceパートよりも和やかにだが。Raceパート、Eatパート、これらでの相克から弁証法的(※5)にWin、すなわち目標の達成が生ずる(※6)という構造は、アタシ個人としては、ツール、それでこそ、という感じ。すなわち、ツールのコアを、まだ見たことの無いアスペクトから活写した良い作品だと思う。

※5 あ、もちろんここは左に対するオワライとして。

※6 記録としては「サイモン・イェーツが新人賞を取った」だが、チームとしては「サイモン・イェーツに新人賞を取らせることに成功した」だ。

 

計三時間、ほぼぶっ通しで見た記録として以上を残しておく。

しち面倒なことをいつものごとくアレコレ書いたけど、見始めてしまえば、もうちょっと、もうちょっとで、あっという間にシャンゼリゼである。自転車を見るとじんましんが出る、とか、料理をしているのを見ると抑うつ状態が始まる、などの障害がなければ、広く楽しめる作品だろう。

 

 

追記

個人的に一番つぼだったのは、レース前に行うバス車中でのミーティングの冒頭だ。ディレクターが最初にする選手への呼びかけ、これが最後の3ステージまではGents だったのが、チーム目標であるサイモン・イェーツの新人賞獲得の最終関門である第19ステージに至って突如 Boys に変わる。ディレクターの胸中や如何に、と色々と考えさせられましたことですよ。この面白さたるや!

7/30 七月後半戦まとめ

生きてるなら時々BLOG書け、というリクエストが来たので7月の後半戦の記録を上げておく。

 

1.ドイツでもヤバT

7月末にドイツに住んでる弟家族の息子、つまり甥二人が当家に来訪。そのときに、いまアタシと家人がはまっているのはヤバイTシャツ屋さんなのさ、という話をしていたら、今年16歳になったelderな甥の方が、我々よりも古参のファンだったということが発覚。去年iTunesでアルバム買って、相当聞き込んでいるとのこと。曲掛けてたら一緒に歌っておりましたよ。

ドイツでもヤバT。

Youtubeで引っかかってハマったんだって(まあ、我々もなんだけど)。

すごいな、ネット。スゴいな、なんか感動した。

頭の悪い感想だけど、そうとしか言えない。スゴい。つまりヤバイ。

 

 

2.リフォームの時に一旦外して付け直したエアコンの設置不良で本棚半壊

書庫のエアコンをリフォーム以来ガチで使ってなかったんだけど、あまりのアツサについにフルで稼働させてみた。

そしたらドレンの勾配を間違いやがったらしく、外にでるはず水が室内にばらまかれており、運転開始から八時間たって気がついたときには床まで水浸しに。

エアコンの下にあった本棚の半分が水でやられていた。

シネ、シネ、シネ、シネ。

しかし一番シヌべきなのは、知り合いの工務店を通じて、請負条件の不明確な口頭発注をしたアタシだ。今回の一連のリフォームは、知り合いの会社を通すということで、普段ならやる書面取り交わしをやってなかった(というか、友人関係を尊重してやれなかった)のだ。

「契約書というのはもめたときにためにあるのだぜ」と会社ではよく指導をするのだけど、自分がつまずくとは。

一定の金額を超える案件については、(例えどんなに魅力的に見えても)知り合いに頼んではならない、万が一知り合いに頼むにしても初めて会った人間と取引をするようにガチガチに契約を交わすべきだ、ということを学んだのだけれども、しかし失われた本とCDはかえってこない。慚愧。

(すでに手に入らない本などは、どうにもならないのだよなあ)

 

これからは、今までに増して「嫌な奴」と言われる局面が増えるのだろうが、知ったことか。アタシの心の平穏は、法と契約によって守られるのだ、という決意を新たにしたですよ。力なき正義は無力だ、というときの力とは、「法と契約」がもたらすのですよ。みんなが自由意志を持って、自由に行動をすることが出来る以上、平穏を守るための力を手放してはならないということで。

 

 

3.盲剣楼奇譚 完結

本日、7/30を持って、昨年から北國新聞に連載されていた小説、盲剣楼奇譚が完結となった。全301回。作者は島田荘司

なぜ島田荘司が江戸時代の剣客物を書くのかよくわからなかったのだが、その謎は本日の回でひとまずクリアされることになる。なんと、この話は戦後の日本で起きた或る事件の前提・背景となる話なのだね。

驚愕。300回あまりを既存の推理ものシリーズ(※)のマクラにするとは。

吉敷竹史シリーズというのがあるのだそうです。詳しくないので伝聞形。

 

あ、貶してないので為念。スゴいことをやりよる喃と感心し、記録に残しておかねばと思っておるのです。毎日面白く読ませてもらっていた小説の最後に、こんな大仕掛けを入れてくるとは。

 推理ものって全然興味が無かったんだけど(推理ものを嬉々として読む人はどうかしていると心底思っている)、こんな乱暴な事をやるというのは中々大したものだなあ、と。

 

 

4.NHKのネット配信について

tech.nikkeibp.co.jp

驚くべきインタビュー。

政府とNHKってもっと癒着しているようなイメージがあったのだけど、それが誤解だったことがよくわかる(いや、旧の郵政省からの流れの人たちはべったりなのかも知れないけど)。

例えば収納した料金で作った番組を有料販売する事や、料金収納事務費に700億使っている(全収入7000億の10%)事や、その他のアレコレに対して政府も ? となっているというのが判ってしまう。

インタビューの最後は相当に壮絶で、そういう事アレコレについて政府は突っ込みを入れた、ボールはNHKが持っているという認識、2019年にネットやりたいと言うのは勝手だけどやるなら法律改正も必要、もう時間ないけどやりたいならまともな話をまとめて持ってきてね、やりたいってのは君たちが言い出したんだからね、話はそこからだぜ、という事を述べている。

変な省庁で修行するより、ドコモやNTTのきっつい辺りで揉まれてきた方が、政治・行政の間の調整をする能力は向上するのではないかと、この10年くらい思い続けているのだけど(※)、今回のもまさにその典型。小林政務官はドコモさんのご出身です。

※なぜそう思うのかは、口が裂けても言えないなあ。

 

こういうのこそ無料で流して欲しいんだけど、さすがに無理か。クロステックにはそういう大局観はないな。いや、マッチポンプなのかな...。

(アタシは「無料会員は一定期間全文公開」というので読みました)

 

 

 

5.The Originのアニメ

今更ながらにThe Originのアニメ版を家人と一緒に見た。

くそ過ぎる。安彦良和さんは二次大戦くらいで世界が止まっているのだなあ。あんな市民が宇宙にいるかよ。コロニーの中に、あんな街並みを作るかよ。家とか、血とかが、そこまで人を縛るかよ。

 

漫画版と同じセリフ、構成でやってて、なんでこんな古くさい話になるのか、当初は理解できなかった。

段々判ってきたのは、安彦良和さんはもともとそういう話を書いていたのに、こっちが勝手に脳内で補完・補正をかけてThe Originを読み、勝手に褒め称えていたのだなあ、ということ。

 

時としてアニメは残酷で、補完・補正をかけるスペースを剥ぎ取って、作品自体に向き合わせてしまうことがある。だから気の利いた人は、メディアミックスでアニメを作るにしても、小説や、漫画をなぞる形のアニメ化は避ける傾向がある。まあ、そりゃそうだ。

ところがThe Originのアニメ版は、そもそも安彦良和さん自体を売りした企画なので、漫画を正典に据えたところから始まってしまっている。せめて、俺の原作だけどアニメはアニメで別作品なんだから、誰か生きの良いのに好きにやらせましょうや、とか何とか言えなかったのかしら。ファーストにルサンチマンがあるダンカイの人のリベンジ的作品だから難しいとは思うけどねえ。

 

本件については、家人が最後まで2010年代の作品だという事を疑っていたのが印象的。本人の弁によると、

 スゴい古い感じがする。

 ホントは20世紀中に作ったOVAなんじゃないの?

とのこと。

久々に時間の無駄をしたなあ、と心の底から思えたのはスゴい。そしてその後、メディアミックスにおけるアニメ化の正しいあり方を確認すべく、幼女戦記のファーストシーズンを固め見したのだった。ああ、ここで溶けた時間も全部The Originが悪いのである。

ダンカイ、それはワタシの敵。

 

 

6.本業

七月後半戦にも言えないことがいっぱいありました。

そして、これからも言えないことがいっぱいおきるでしょう。確実に。間違いなく。

をを。

まあ、退屈するよりは良いかもね。

 

 

 

7/20 AD2020

映画館で並んで座って観たのは破だけで、あとは都度買い入れたブルレイを家で一緒に観ていた。振り切ったなというQもそれなりにお気に入りで、その続きは折りにふれ気にしていた。例えばシンゴジラを観たときも、庵野これからどうするんだろう、という所に話が向かっていった。これですっきりして作れるかねえ、等々。
面白いのはTVシリーズに全然興味を示さなかった辺りで、なんだか旧作は「違った」らしい。そうか、シンだけの付き合いってのがあるんだ、なるほどね、と思ったりもした。

 

今日、2020年に最終作が公開されることが明らかになった。メールで知らせてくれる人がいて、そこからネットを見に行ったら予告編の公開を伝えるニュースが幾つも見つかった。そうか、2020年か。

  

これで何をしてでも、何としてでも、2020年まで生き延びなければならなくなった。目と耳は保ったままで、映画館に行けるくらいの体力と財力はもちろん備えた上で。

 

 
本日は誠に良き日なり。
急ぎ記録に残すべく、ライブでエントリを記すモノ也。

7/9 大統領の料理人

という映画を途中からみる。帰宅したときに家人がAmazonPrimeでみていたのだ。

 

半ばからではあるのものの、画面は目を捉えてはなさず、結局最後までTVディスプレイのまえに座りづめとなる。そのあとで映画評を探してみると退屈などという声もあり、なるほど人間はやはり千差万別であるねえと思う。まあ、すべての人間と友達になる必要はないのであって、違う人の存在を許容することができればそれで良いのである。そういう反応もOKじゃないか。ボクは多様性のある世の中に暮らす、平和が好きな平凡な男だ。

 

しかし、この映画を退屈と思う奴は友達にはなれないな。

もしかしたら見損ねた冒頭30分に、その人が退屈と決めてしまったすべてが詰まっていたのかもしれないけど、でも、その後の一時間は間然とするとこが無かったぜ?

 

強いて言うならミッテランの時代よりも新しい車が平然と出ていて(というか、ほぼ車は撮影時の2012年のものをひねらずに出してるな)、その乱暴さに驚かされはしたが、しかしそれもフランス映画っぽいような気がする。ディテールが作り込まれないと映画として成立しないと君たちは思っているかもしれないけど、それって見る側の想像力のツボを制作者の君たちが判っていないだけじゃ無いの? とか何とか、そんな主張が聞こえてくるような気がしませんか?

アタシだけ?

8/9 追記

そうだ、フランスはAlphavilleの国だった。元気ですありがとうどうぞ」。

Alphavilleについてはどこかで別に書くことにして、アレが映画史の一コマになっている土壌だ。ミッテラン時代に2012年の車が出ているくらい何ほどの事があろうとフランス人は思っているに違いない。...ホントかな? 映画の種類にもよるけどね。

 

 

 

その後、件の大統領のモデルであるミッテランさんのことをWikipediaで調べ、いつものごとく横にドリフトしていき、ルワンダ大虐殺のページに長期滞在し、不思議なルートで元フランス大統領であるジスカールデスタンさんのページにたどり着く。

なんと、1926年2月2日のお生まれである第20代フランス大統領(1974-1981)のヴァレリー・マリー・ルネ・ジョルジュ=ジスカール・デスタンさんは、今なおご存命なのであった。92歳は、まだ不思議の域には達してないお年ではあるのだが、もうお亡くなりになったものだとばかり思っていたので、アレ、まだだったの? と。

それで今日はもういいかな、という気分なり、ようやくWikipedia沼の脱出となる。

 

その後、読み進めている某書をちょっとだけ眺めてから就寝。この本については次回のエントリで記す。

 

 

追記

大統領の料理人は大変に素晴らしかったのだけど、最初の30分は見直さないままで行こうと決心する。

解決されない謎、というほど大げさなものでもないけど、そういうのもあって良いじゃないか。

 

 

追記2

日記を書いている最中にトレーラーを見た。

うーん、これはひどい。このトレーラーの延長線上の映画を期待して見た人は、多分暴れるのではないか?

退屈、と断じたひとを一概には責められない。

 

それともこの手の映画を小屋で見る人は、トレーラーがどのくらい嘘をつくかというのを楽しむ度量が求められるのか?

そりゃ映画が衰退するわけだ。

 

 

7/3 6月の記録

(あれほど真面目に働かないと誓ったのに)また働いてしまった。しかもハードコアに。

去年の10月に巻き込まれた某案件が、この7/1に一応の決着をみることができ、これでまた平穏な生活が戻ってくるはずなのだが、しかし溶け去ってしまった2018年の6月は二度と戻ってこない。せめて思い出ポイントだけは記録に残しておこう。順番は、時系列ではなく、多分インパクトポイント。

 

 

1.ドカベン最終回(え、そこから?)

途中にプロ野球編(1995-2004)という低迷期、スーパースターズ編(2004-2012)という混乱期を経てのドリームトーナメント編(2012-2018)は、往年の熱気を彷彿とさせる再臨期だった。殊にこの二年くらいは本当にSecond Comingという感じであり、リアルタイマーを引きつけて放さないものがあった。しかしものには終わりがあるもので、2018/6/28(木)発売の週刊少年チャンピオン31号でついにサーガ全体としての完結を迎えるに至った。

さてわざわざ記録に残しておきたいことは、感動をありがとう、などということではなくて、46年前からエンディングが決まっていたのかも知れぬ、という驚きである。

作中の「おんどれらのレベルではな。けど わいとやーまだはケタがちがうんや」という岩鬼のセリフと、それに続く一コマでの岩鬼の目。こんな目をする岩鬼は見たことない。そして一番最後にリプライズとして挿入される、岩鬼とやーまだの出会いのエピソード。

ついに認めたとみるか、それとも最後にデレたとみるか、そこは意見が分かれるところだけれど、見事に円環を閉じたと思う。大団円である。

 

2.2020年には18歳で成人

これに関連する報道が馬鹿らしくって、へそで茶を沸かしたのを記録しておく。

2020年には20歳と、19歳と、18歳の三年分の成人式をまとめてやる事になるがその場所をどうする、とか、それ以降の成人式は大学入試とぶつかるがどうする、とか。

...どうやら成人の年齢が下がることよりも、成人式の方が気になっているようなのは、まあね、大きなお金が動くからね。

今年の「はれのひ」事件はまだ記憶に新しいけど、アレが明らかにした事は、多くのピュアな若人がマーケティングに騙されてお金を使わされているという実態だった。「はれのひ」は、そのなかの一部の人が投じたお金に対するリターンが得られなかったという悲惨な事件であったけれども、そもそもお金儲けをしたい大人の人に、いいように欲望を喚起されているXXXXな若人の悲惨さについては何にも語られないままだ。そして、その論調は今回の2020年の成人式問題でもなんら変わるところがない。

ところで、世界でいま成人式をやっている国はどのくらいあるのだろう? 調べるとげんなりすることが判る。ホントの意味でのイニシエーション(!)を除くと中国と、韓国と、日本だけなのだね。で、中国は高校の卒業式でまとめてやっちゃうらしい。韓国も日本ほど加熱しないらしい。Childishで公共心の低い大人が多いことで知られる日本だけど、その日本だけが成人式にこだわっているというのはアイロニーとしてできすぎだ。

さて、成人式をやめられるくらいに日本人自身が成熟するのはいつの事なのだろう。

(ところで2020年以降は、飲酒による逮捕が発生するのかと思うと胸熱。18歳を過ぎて20歳に至るまでの飲酒は、成人なのだから補導って訳にはいかないのだよね。すなわち逮捕ということになるかと。さて、2020年以降の成人式が楽しみである)

 

 

 

3.ヤバイTシャツ屋さん

yabaitshirtsyasan.com

Youtubeでちょぼちょぼ見ていたヤバT、ついに我慢しきれずにCDまとめ買いしました。

このアルバムを買えばあなたもヤバT古参に間に合います!

このくすぐりに抗しきれませんでした。

 

30年ぶり、というのは嘘だけど、この20年くらい日本語の歌詞を真面目に読むことがなかったワタクシは、2枚のフルアルバムに入ってたブックレットを何度も食い入るように読み、そしてその歌詞に楽曲が結びついた状態をCDからリップして、家、会社、通勤時に、むさぼる様に聞いていました(7月時点では、ちょっと頻度が下がりましたが、それでもしつこく聞いています)。

スゴいとかスゴくないとか、才能あるとかないとか、そんなんどうでもよくて、いま圧倒的に鷲づかまれているという事実を記録に残しておきます。

 

ライブ見たい。年齢高くて、きっと浮くけど、見たい。

 

 

 

 

4.Travisと通じる

 

朝、自宅で仕事をしていて(裁量労働って根は良い仕掛けだと思うよ。ブラックな会社は何を与えても黒くするからブラックなのであって、様々な制度を魔改造というかブラックナイゼーションしてしまう日本の社会のいびつさこそを問題にすべきなのにね、ってまたずれた)、少々疲れたので体を動かすカー、とふにゃふにゃとした体操をはじめて10分、そういうや今日って何日だったっけと思った途端に、宅内ライブラリの曲をランダムに流しっぱなしのスピーカーから

June 29th. I gotta get in shape now....

と答える声がしたのだった。

なるほど、6/29ね、明日は30日だから確かに今日は29日じゃないか、と感心すると同時にそのあまりのタイミングにびっくり/げんなりする。

答えた人はTravis Bickleさん。1976年のNYでタクシードライバーをされている(いた)方で、日本においては「清酒タクシードライバー」のラベルに顔のアップが出ていることで有名な人。このTravis Bickleさんの一連のモノローグに曲をつけたものが " All the animals come out at night" と銘打たれて "This is Cult Fiction" というOSTのコンピレーションに入っており、たまたまその曲の一節がワタクシが日付を問うたときに一致したということなのだけど、それにしてもあり得なさすぎる。どうして、その瞬間にそれが流れるのだろう。

記録に残すことは、こうだ。

 

世界は役に立たない、しかし驚くべき偶然に満ちあふれている。そして、そこに意味を探してはならない。

 

なお、上記の曲 " All the animals come out at night" でTravisさんの語っていることは

Taxi Driver - Wikiquote

Travis Bickle さんのセクションにあるとおり。

 

 

5.スピーカーのエンクロージャーに穴をあけてミッドレンジユニットを追加

ウーファー、ミッドレンジ、ツイーターの箱をバラバラのまま3wayで鳴らしていた自作スピーカー、定位が気に入らず、ウーファーの箱(エンクロージャー)にミッドレンジも同居させることにする。

ということで逡巡と調査の果てに、生まれてこの方避け続けてきた木工に手を染める事にした。

リョービ(RYOBI) ドライバードリル CDD-1020や、95mm径のホールソー(※)を購入、エンクロージャーの表と裏に穴をあけ(裏はターミナル用)、配線をし、吸音材を調整し、とソレっぽい事を行う。

※ホルソーという表記が散見され、何のこっちゃと思って居ましたが、Hole Sawなのですね。でもホルソーは無いと思うな...。

 

ボーカルの位置が落ち着き、やってよかったとの結論となる。

ここで記録しておきたいことは以下のとおり。

 

幾つになっても新しい芸を仕込むことは可能なのだなあ(今回は木工)。自分の主人であるところの自分は、年齢を理由に、自分に芸を仕込むことをためらってはならないのだなあ。

 

 

そうこうするうちに6月の終わりと同時に某案件にも決着が付き、息子の18歳のお誕生月を向かえることになるのである。

死んだ子の歳を数える、という行為の意味は余人には判らぬものナリ。

6/11 ホントに日記(ダウナー)

6時起床。ちょっと運動後、シャワー。家人に送ってもらって金沢駅まで。所用で東京に行くものなり。ただし本日は飛行機。昨日のナタの惨劇を思うと、飛行機は確かに安心なり。流石にナタは保安検査場で弾かれると思うので。

羽田から本厚木へ。午後一に知人が演るという人形浄瑠璃を観に。(あ、これは所用の週末に東京にいるのなら、と言うエクストラ。本丸は明日の朝一にあり)

羽田から本厚木に高速バスが出ているという情報を得ていたのだが全く時間が合わない。仕方なく電車。なぜ仕方がないのかと言うと、思い出の相鉄線に乗らなきゃならぬ故。考え事をしていたら、あっという間に海老名についてしまい、アレコレ思い出すこともなかったのは重畳。

 

あつぎひがし座さんの公演にうらみはないが、死んだ人が黄泉ガエルのだけは勘弁をと、終わった途端に席を立つ。知り合いをちらほら見かけるが、挨拶の余裕も勿論なく、雨がちらつくところをほとんど小走りの勢いで本厚木駅にもどる。そのように生まれついたと思しいのだが、去年の二月から更に輪をかけて、生者が困る。正確には生者が発散する力に困る。

生きている人が大勢集まって、楽しげに過ごす場所は、本当に削られる。生者の集いで生者のフリをするのは、亡者には過分に難しきことなり。

 

 

その後、小田急線で新宿に。車中、箱根に親子連れの観光を誘う宣伝が繰り返し流されており、胸が詰まるものなり。アタシにおいては、最早過去の話なればなり。

 

本日の宿は芝。宿に入ってしまうと出るのが億劫なあたりゆえ、先ず食事を取ってしまうことにする。一人メシ、酒あり、夾雑物なし、とくれば焼きトンである。焼き鳥は、まだゆとりがあるように思われる。何、串焼きで焼酎がもっとも飲みやすいのが焼きトンなのである。

ということで、新宿からそのまま総武線で浅草橋。ここなら浅草線で大門に出れば帰路も一本であるゆえ。昔そこそこ通った店は、通りを挟んで1号、2号とあったのだがいつのまにか一店になっており、その代わり駅に近いところに新店ができていた。そもそも浅草橋駅自体がリニューアルされている。

昔、といっても三年前の二月、この店で飲んで、酔いに任せて西五反田四丁目まで歩いて帰ったことがある。思えばそれ以来の訪問である。街に馴染むには歩くに限るのだが、それにしても東京は、これに限らず果てしなく歩いたものだ。それを伝えるという宛ても、最早ないのであり、お召しとともに消えてなくなるはなしであるのだ。

 

喫食後、浅草線で大門へ。そしてチェックイン。一風呂浴びて、酔いを払ってから仕事。まさに亡者の休日である。

さりとて、致し方なし。唯々迎えを待つものなり。

6/5 バベる

www.chikumashobo.co.jp

「バベる」である。

四月の終わりに新聞の書評欄でこの本のことを知り、すげえ人が居るものだ、まずはこの本を買ってみようと思ったものの、アレコレに紛れて注文が止まっていた。それがバー(※)での会話が変な方に転がって、あり得ないリンクから購入タスクの再開に繋がったのだった。こんな具合に。

※店主はスナックと呼べと言ってるが、であれば由緒正しく焼きうどんか焼きそばを出すべきなのである。それまではバーだ。

 

  • (そのバーの近所にある)鶯というラーメン屋がある。そして白鷺という名前のブランチを金沢駅前別院通り商店街でやっている。個人的にはどちらも好みなんだが、オフィスから近く、ランチをやってる事もあって、最近は専ら白鷺のほう。
  • ところで本店も、ブランチの方も、いつ行ってもキヨシローが掛かっている(他には、二回だけ戸川純(!)を聞いたのみ)。どうやらオーナー店主の好みらしい。
  • どれだけキヨシローが好きなんだろう。その昔、目黒の権野助坂の途中の鳥芳本店には、アメリカのロックしかかけないという掟があったが(最近はどうなんだろう?昔ストーンズを頼んでみたら蹴られた事があり、その時にウチはアメリカンロックだけなんだ、と言われた)、その比じゃ無い。もっと絞りきられている。気合い入ってるなあ。

ここまでそんな話をしたら、隣に座っていた人と、カウンターの内側の人が、こんな事を言い出した。

  • そういうレベルでRCというかキヨシローを好きな人を何人か知ってる。
  • 一番強烈な人は、このお店に来て飲んだこともある。

ほうほう。

  •  現場に見に行ったこともあるのだけど、その人は三田でビルを作ってて…

ちょっと、まて。それは、アレか?アレなのか? 

  • 岡さんと言うのだけど。新井英樹にマンガにされたこともあるよ、云々。

ああ、間違いアリマセン。蟻鱒鳶ルの人ですね。

 

こうして深夜のバーにおいて、ラーメン屋発のキヨシローの話は三田の蟻鱒鳶ルを引き寄せ、そして岡さんがいかに素晴らしい人かをお聞きした結果として、沈み込んでいたAmazonへの注文行為を再開することが出来たのであった。

 

もちろん内容には触れない。

このアツい本は、みんな買って読めば良いのだ。この本は買われることに(も)意義があるのだ。

 

 

と言いつつ、本筋と関係無いことを一つだけ(温度下げそうだな)。

P22にこんな一文がある。

「千葉の浦安には鉄筋屋がたくさんある」

ええええっ? もしかして、あれはそういう事だったの?