all things must pass

記録と備忘録による自己同一性の維持を目的とするものです。

掲題:ワタシ達は巨大で、厳密で、場合によっては人がシぬ物や事には向いてないのではないか

ようやく時間が取れたので、整理を再開する。今回、いつにも増して16才向けなのは彼のお誕生月だから。身近な16才に語りかける感じでウザく、かつブロードに、そして自分の事を織り交ぜつつ進める。そもそもそういう趣旨のBLOGなのだ、これは。
 

(承前)
「ワタシ達はアレのように巨大で、厳密で、場合によっては人がシぬ物や事には向いてないのではないか。戦略思考が足りないのも、セオリーを無視するのも、(ワタシ達の組織論に)何か根本的に足りないところがあるのではないか」ということをボクはいつも気にしてる。

アレにはいろんな巨大組織の名前が当てはまる。軍隊とか、原発を運営する電力会社とか、その他いろいろ。古典、大物、最近ホットなところなどを取り混ぜて列挙してみよう。
ゴールも終わらせ方も設定できずに本末転倒な「総力戦」を遂行した、軍隊の本義に悖る某国の軍隊。予見された危機に対する対策を取らず、福島に白地図と、日本国全体に長くのしかかるリスクと問題を作り出した電力会社(※1)。デューデリ(って16才は知らないか。ぐぐってください)やってて尚どうしてそうなるという致命的な契約を乱発して、そしてそれを原因として倒れようとしている重電会社。買った会社を腐らせてみなさまから預かったお金をオーストラリアに溶かした郵便屋(※2)。
※1.君も知っているとおり3/11の日はボクは東京にいて、その翌日にスゴイ事に営業を再開したJALに乗って小松にたどり着いたんだけど、そのとき小松空港のTVから核燃料の一部が溶け出した可能性があるというニュースが流れていた。あのときは地獄の釜の蓋が開いたと心の底から思ったよ。コントロールに成功したとしても、原発を中心とした半径20kmくらいの土地は国が責任を持って買い上げて立ち入り禁止にするんだろうなとも。実際には最悪は避けられはしたけど、やはりあそこは許認可の責任をとって、国が買い上げて封印すべきだったと今でも思ってる。それは長くなるのでまた今度。キーワードは、石をおく、または線を引くということ。
※2.2015年にオーストラリアの運送会社を買収したんだけど、その時点で買収額の6200億は高値づかみ...って16才にはなじみのない言い回しか...まあ無駄に高く買ったんじゃないの、という批判が出ていた。それから2年たったら、やっぱり大赤字ということが出てきた。すっごくアレな話だ。
 
なかなか馬鹿げてるよね。どうしてこうなっちゃうんだろう。ここに上がった組織は、悪い人が力をふるえる場所にいたということなんだろうか。陰謀論というのがあるけど(これも知らないならググルように)、つきつめれば、期する利益を得ようとする人がいて何かを企むという考え方だよね。規模の大小を除けば、悪い人がいたから失敗したんだという考え方は、極論すると陰謀論と同じ次元の話になってしまう。でも、悪い人(という言葉は多義的だ。法律にまだ定められていない犯罪を思いついて実行する埒外の人から、ワルイ人ねと言われる人まで、とても幅広い)のせいにすれば再発は防げるんだろうか?一緒に考えてみよう。
 
いま名前が挙がった組織は、どれもこれもその時々の優秀な人達をかき集めてる(吸い寄せてる)のに、すっごくバカなことをやってる。不思議でしょ?ぜひ不思議だと思って欲しい。みんな優秀なんだよ?すると、この辺りでお決まりのツッコミが入る。「勉強が優秀なだけで人間としてダメな人達だったからでしょ(そんな事も分からないなんてアナタはバカなのね)」って奴だ。これのバージョンアップ形として「人間として大切なことを学ぶ時間も勉強ばっかりしてたから」というのがある。なるほど、人間に必要なものって確かにあるよね、思いやりとか共感力とか。そういうのが無いひとの代表格といえばサイコパスだけど、サイコパスの相対的な比率が高い職業(しかも1位!)として企業のCEOがあるっていう研究もある。ちょっと懐かしいけど(ボクにはね)IntelをビッグプレイヤーたらしめたAndy Groveの"Only the Paranoid Survive"という有名な言葉もある(し、本もある)。人間性じゃ無いんだぜ、会社が成功するってのはヨウ、ということですね。であるので、人間として至らないから問題が起きるのだ、というのは論としてちょっと弱い。問題のありそうな人達が企業を成功させちゃってるのだから。
 
さて、不思議に帰ってきた。優秀な人達があつまる組織は、しかし時としてトンデモなくバカげたことをする。なぜなんだろう。共通する原因があるんだろうか。そうしていろんな事を調べて、考えて、迷宮に入っていく。でも答えが出なくてもおなかは空くし、明日はやってくる。もちろん会社も学校も続く。だから答えが出ないことに向き合うことも必要になる。そういう時には先人の英知をつかう。今回の場合は「不思議だが本当だ」。
だから理由はさておき、組織の構成員の出来もさておき、「人間が集まったら、予想外のバカなことをする可能性がある。それが顕在化したときの破壊力は組織の大きさに比例する」ということを公理としてみとめてしまおう。公理と書いたのは、証明をしないからだし、そこを出発点にして考えようということだね。原因が気になっていたは次の「バカダナー」を避けるためなんだから(まあ、純粋にバカを見て楽しむという趣味の人も居ないではないけど、ボクを含めた大多数の人はそんなにいびつでは無い)、公理をみとめてしまえば、バカな事が起きても困らない組織にするにはどうしたらよいかに変形されることになる。なるよね?

ちなみにこういう立論をしちゃうと、悪い人がいる、というのは原因の1つに過ぎなくなってしまうというのも魅力だ。悪い人を除外せよ-、なんてのは魔女狩りにしか繋がらない(ヨーロッパの歴史も蒙いけど、アメリカも相当だよ。魔女 セイラム でググってみよう)。
 


さて、すっぱりと説明してしまえると思ってこのアーティクルを始めたんだけど、中々想定するゴールに近づいていかない。判りやすく伝えるのが難しいというものあるけど、考える筋道ってその人の形そのものなので、それ自体を判ってほしいという欲もあるから。お互い急ぐこともなくなっちゃったので、なんでそんな風に考えるのかをもう少しゆっくり伝えていこうか。
そしてそれに当たっては自分の原則を伝えておかなくちゃならない。そのものズバリ(ってのは相当に古くさい言い方だ)の発言があるので、それを引用する。

 

「僕は別に白人である事にも英国人である事にも、特に誇りは持ってない。偶然そういう境遇に生まれ出てしまったんで、『まあじゃあそれを精一杯活用するか』」程度のものでさ。音楽がこういう形で現れるのは、子供の時に吸収したものの影響に過ぎないんで-白人の作るポップミュージック、それだけだったんだ。レゲエやオペラを作ろうとしても、僕はそうしたものを吸収してこなかったんだから、仕方無い。入ってきたものといえばビートルズキンクスにある種のモダン・ジャズだった。だから必然的に今出てくるものもそれなのさ。僕はただの挽き肉機なんだよ。この世にオリジナリティーなんて存在しないんだ、あるのは誤った解釈だけだよ」

 

XTCというバンドの、アンディーパートリッジさんという人の発言で、Fossil Fuelというシングルコレクション集のライナーノートに記載されていたもの。ボクの思っていることをこれ以上の精度の望めない形で伝えてくれてる。

つまりボクの考える道筋までもを伝えるなら、何をインプットしてきたかを開示しなきゃならないということだ。世界少年名作全集みたいな物語千本ノックのおかげで、物事を類型化する癖がついたよというのはもう話したことがあったと思うから、その先の事を伝えよう。ウチにおける「ビートルズキンクスにある種のモダン・ジャズ」はビジネス書だったんだ。

 

今日はここまで。こんどはそんなに空けないつもり。誕生日も近いしね。