all things must pass

記録と備忘録による自己同一性の維持を目的とするものです。

9/21 日常生活から生ずるとりとめの無い雑感(仕事編)

仕事と家の大規模リフォーム、そしてリフォームに伴う不用品整理ならびに使用頻度の低い物のパッキングおよび宅内外への移動ですっかり時間が溶けてしまっていて、なんにも書けておりません。最近の仕事が作文ばっかりなのがクラッシュに輪を掛けてます。役所向けとか、次期中期計画向けとか、その他の面倒な作文ばっかりで、心安らぐファンシー(!!)なBLOGを書こうにも、作文をする力が全部吸い取られてしまってて、全く筆が進みません。...最近Apple Pencilなのでマジで筆の場合があるのです。

とはいえ、BLOG書かないとシンデンノカと言われそうなので、何かは書いときましょう。そうなるとネタは必然的に仕事かリフォーム関連ですな。ということで今回は仕事関連で「驚いたなあ、もう」というネタを。


最近の仕事の1つとして、自社のビジネスプロセス管理(Business Process Management)の各種規定の改訂というのがある。たたき上げの中小企業であるところの弊社においては、各ビジネス部門が長期どころか中期の視点も怪しいまま目先の事象に過剰反応してみたり、逆に評価して意志決定に反映すべき事柄をばっさりつかみ損ねていたり等々の問題が出ており(ま、標準的な中小企業ですね)、これから経営環境が厳しくなると予測される業種であるので、生き残りのための体質改善を図ろうとまずBPMの改訂作業を行うことになったのだった。
と言っても、いきなり怪しいセオリー(それってセオリーなの?形容矛盾だ)を適用しようとか、そんな冒険主義的(と書いてバカと読む。分析無しに特定のセオリーの適用を主張し始めるバカはどうにかなってしまえば良いのだ)な事をやるわけじゃない。今現在の計画の立て方や統制手順を紐解いてドキュメント化し(そう、アンドキュメンテッドな箇所があるのよ...)、実際の計画・統制の実施状況をまとめ(計画の実施状況じゃなくて、計画行為の実施状況ね)、現状発生している事業遂行上の問題の原因となる箇所を求め、それらを埋める方途を検討し、その方途に基づき実施する期末評価の手順説明資料を作成し...等々を、経営ってメタプログラミングかもなあと思いつつマジメにやる。で今回のネタである「驚いたなあ、もう」は、ビジネス部門の実際のオペレーションと、各種の計画と整合させるための統制の考え方をどうしようかねえというところに登場してくるのだった。


世の中にはOODAという考え方がある。

OODAループ - Wikipedia

 

大づかみに言えば、OODAとは機略戦という作戦術(作戦レベルの統制技法)の中核理論。弊社の社風はゆるーいのがウリなので、オペレーション(ってのは正に作戦ですな。「作戦」とは、戦略や戦術を実施すること=Operationです)の統制の一手法として社内展開してもいいなあと常々思っており、この機にどこかのビジネスユニットにやらせてみようかと考えたのが時空の裂け目を覗くきっかけだった。

OODAが如何に素晴らしいかを説くサイトは、すぐに幾つも見つかる。

 

www.fujitsu.com

dentsu-ho.com

あと、そういう大人に騙されている頭の弱い若人も。

 

studyhacker.net

これらに共通する論旨は「PDCAはもう古い。これからはOODAだ」。眩暈がする。上に書いた通りで、OODAは作戦術の一部をなす理論であって、戦略やその上位の計画の直接の理論ではないのだ。作戦術を最上位にして経営をするの?アタマ悪すぎ。何が悪いかというと、①これでセミナとかコンサルの商売ができる(だませる)と思っちゃうところであるし、②偉そうな人が言ってるから良いことなんだと信じちゃうところ。マジでアタマ悪い。電通の奴が書いてる変なKPIを設定してPDCAがダメなパターンって、頭を使ってないだけじゃない。OODAになったら頭を使うの?ツールが変わったら頭が良くなるの?そんな訳ないでしょ。
そこに第三のパターンが加わってくる。PDCAとOODAは使い分けをすべきとか言ってるサイトが結構みつかる。ちょっとひねって考えられるワタクシって感じが鼻についてゲンナリする。③場合に応じて使い分けるのが大事ですね、とかもっともらしく書いといて、その場合に関する説明が無いのばっかり。使い分けじゃなくて担当する階層が違うのだということが理解できてないのが丸わかり。アレ過ぎる。

 

等々、調べれば調べるほどOODAという言葉を使うのはやばすぎる(社内に要らぬ誤解をはびこらせてしまう)事が判り、クラーイ気持ちになっていたところに、件の時空の裂け目に出会ったのであった。
引っ張る?いやいや、そのくらいの価値がある物件なのだ。

 

iandco.jp

最初は①なのかな、と思った。でも良く見るとスゴイ事が書いてある。

実践で使われる光速OODAループ

lightspeed、だと?
これは異次元かも、とサイトを子細に眺めるとスゴイのがザクザク出てくる。

 

iandco.jp

第五世代OODAループ?
たしかに以下のサイトにあるように、F-35にはNew OODA Loopが載っているのだそうだ。

The F-35's New OODA Loop | U.S. Naval Institute

One of the primary design elements of the F-35 was executing a fifth-generation version of John Boyd’s well-known Observe-Orient-Decide-Act (OODA) loop. 2 This fifth-generation OODA loop uses information as its key attribute, while taking into account current technology and tactics, which have changed greatly since Boyd helped shape the design of the F-16 in the 1970s. Using this updated paradigm to shape the next generation of fighters yielded an F-35 designed around information flow, rather than dogfighting, as fourth-generation fighters such as the F-16 and F/A-18 were. 

 うん、うん、そうだね、そこにはウソはないね。
でもね、

第4世代から第5世代 経営戦略へ

今日の経営は、スピードと機動性を実現した第4世代OODAによる自律分散型の経営戦略から、第5世代OODAの概念に基づく環境変化への適応力を備えた経営戦略の遂行の段階に来ています。
第4世代 経営戦略:
第4世代経営戦略とは、スピードと機動性を重視した自律分散型の経営を遂行する戦略です。
第5世代 経営戦略:
第5世代の経営戦略の特徴は、敵を圧倒するスピードと想定外の事象が起きないような想定能力の強化です。気づきを得るように包括的なフレームワークで戦略を構築します。シチュエーションアウェアネス(SA、Situation Awareness)を完成させていきます。

 

 と、経営戦略の話にいきなり飛躍するのはどうなの?
機略戦を英文のwikipediaで見ると

Maneuver warfare - Wikipedia

Maneuver warfare, or manoeuvre warfare, is a military strategy

と書かれてるんだけど、その military strategy の定義はコレ。

Military strategy is a set of ideas implemented by military organizations to pursue desired strategic goals. 

military strategyとequivalentなのはせいぜい事業戦略で、経営戦略に釣り合うのはgrand strategyなんじゃないの?
そういう翻訳詐欺のようなことを交えつつ、このアイ&カンパニー・ジャパンさんはステキな記事を大量に書き散らかしている。マジで異次元。
どこまでがFACTでどこからが彼らのファンタジーなのかを識別しつつコンテンツを読み解いていくと、あっというまに時間が溶けてしまう、魔法過ぎるWEBサイト。「驚いたなあ、もう」である。こんなのを公開出来る強い心はどこに行ったら手に入るのだろう。

 

<今回のまとめ>
OODAループは大元の話は大変面白く(ジョン ボイドという発案者自身が非常に良い。ググルとすぐ出てくるから是非見てみよう)、うまく使うと良い事があるだろうとは思う。
でも、その周りを寄生虫や異次元からの使者が取り巻いているので、キーワードだけを投げると多くの人が道に迷うだろう。
であるので、読み解き方の資料とセットじゃないと、とてもじゃないけど社内展開できないな。
暇になったら、ちょっと考えてみようか。さて、暇って何だったっけ?