all things must pass

記録と備忘録による自己同一性の維持を目的とするものです。

10/29 政治の役割

最近にやりとしたニュースがコレ。

 

www.nikkei.com

6兆円とは大きく出たなあと思うが、もちろん「本件は極めて重要なイシューなのだよ」という主張の根拠を固めるためのものであって、ウソとは思わないけどガチの本当でもないだろう。ではその主張の矛先はどこに向かうのか。
リンク先の記事を見ると国交省がターゲットのように見えるが、その向こう側があるというのが当方の読み筋で、6兆円という派手な数字は法務省を刺すための武装なのだと思われる、おそらく。

例えばこんな感じ。

 

diamond.jp

こういうのもある。

www.fujitsu.com

法務省仕事しろ、というための威嚇ツールとしての6兆円という気分がしてこない?

ちなみにその法務省は、戸籍のマイナンバー化を頑張ってらっしゃるのだけど、その先の見通しがきこえてこない。なぜ何だろう、社会を良くすることに興味がないんだろうかという気になってくる。多分、そういうマインドはないんだろうな。
土地登記をマイナンバーと紐付けてシュアにするというのは法務省のマターの筈なんだが全然やる気無しという怨嗟の声を耳にする(目にする)ことがあるけど、本件はまさにそこを突いた攻撃の模様。


本来の中央官庁の仕事というのは企画と監督が主たるものであって、それぞれの分担範囲のなかでこの先の社会をどうしていくかを考え(企画し)、それをコントロールするための法律を作り、分担範囲の中のプレーヤー(私企業であったり、地方自治体であったり)を規制・監督していくのが王道だ。実際のオペレーションをするというのは中央官庁の仕事ではないのである、本当はね。
ところが日本の中央官庁にはオペレーション自体が組織の中核になっているところが2つある。一つは防衛省で、もう一つが法務省だ。(あ、もう一つあるけど今日は省略)

毎度のことだけどwikipediaで見てみよう。

法務省 - Wikipedia

他の中央官庁との差は歴然。大臣官房を除くと、基本的にはオペレーション部局だけ。

 

法務省:国会提出法案など

にある提出法案をざっと眺めても、法務サービスの利用者(国民)を向いた法案ってほとんど無くて、現在のオペレーションの精度を向上させるか(例えば刑法の改正とか)、さもなきゃ裁判官の処遇(給与)を変えるか等の内向きの話ばっかりだ。

 

最近の民法改正はインパクトあったけど、でも

法務省:法制審議会 - 民法(債権関係)部会

にある検討の記録を読むと、斯界の権威が集まってアレコレ述べているだけで、サービス利用者の利便性向上というのを気にしてるようには見えないなあ。
オペレーション部局ばっかりだとそういう気分になってしまうのか、と思う事しきり。法務省が世の中のあるべき姿を考えるというのもぞっとしないけど。


尻込みをしがちな官庁を蹴飛ばすのは正に政治の役割なのであって、土地登記の件をフレームアップするのは筋としては悪くない。マイナンバー入れたんだから、毒を食らわば皿までで、可能な限り(少々の流血も怖れず)使い倒して欲しい-次の世代に、変なしがらみを残さないためにも。
この手の話は地味になりがちで(だから官庁のバリアーを中々破れないんだけど)、それを6兆円という圧力でぶっ飛ばすという絵柄に見えるのであって、つまりどのようなオチになるのか大変楽しみにしております。

 

少なくとも某党や某党が大勝してたら、この手の票に結びつかない、けど次の世代のために重要な話が停滞していたわけで、助かったなあというのが正直なところ。