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記録と備忘録による自己同一性の維持を目的とするものです。

1/25 オーディオ再生環境のリフォームに関する備忘録(その3)

オーディオ再生環境のリフォームに関する備忘録、本日はリフォームに当たっての要件に基づいた設計(というほど大げさでもないが、実現方法の確定だからやはり設計だ)の経緯を。
 
 
と書いておいて寄り道をするのも昨日と同じで、なぜDLNA→OpenHomeの道をたどるのか、どうしてRoonを目指さないのか、という疑問に対する現時点の考えを記しておく。
まずは、Roonとは何か。少々長めだが適切に纏まっている記事に解説をお願いしよう。
(なおこの記事は、前回OpenHomeの解説をリンクした「言の葉の穴」の逆木 一さんによるものであった。なるほど、識者とは検索してよくヒットする人の事なり)

www.phileweb.com

ウィキペディアである項目を調べた時、関連項目から次々に興味のある別の項目へ飛んでは長時間を過ごしてしまった……なんて経験したことがある人もいるだろう。Roonが提供する音楽体験はまさにその感覚に近い。

音源に対するメタ情報(作曲、演奏、などその音源に関する情報)データベースと、そこからリンクされる音源情報のリポジトリ(は、まだ業界用語だな。貯蔵庫ですな)。確かに面白そうである。今聴いている曲と関連を持つ曲を一望できるというのは、神の視点を手に入れるかのようだ。

しかし今回のリフォームは、「現実的なコストの範囲で聴きたいものを聴きたいときに聴きたいように聴く」を満たすためのものなので、「コレも聴きたくなったりしませんか?」というサジェスチョンはもちろん大変に興味深いのだが、しかし自分の中から湧き出てくるものではないので、要件として必須ではないのだ。

 
そしてより重要なもう一つの理由が「現実的なコストの範囲」だ。Roonを全能感をもって使おうとするならTIDAL連携は必須だ(RoonはTIDAL連携ができる)。そしてアタシはアーティストにお金を渡したい(出来ればダイレクトにおひねりを投げたい)というスタンスだから、TIDALを使ったとしても個別購入は続けるだろう。もちろんTIDAL経由でアーティストにお金は流れるのは判っている。その上で、契約範囲・期間に限定されずに、聴きたいものについては、聴きたいときに、聴きたいように聴くという権利をお金を渡して確保したいと思うのである。そうした場合、Roon+TIDALにいくらまで払えるのだろう。
TIDALは日本でサービスを始めておらず、裏技を使って契約せざるを得ない。その事によるリスクは目をつぶるとしても、おひねり代を別途払う想定なら、Roon+TIDALの年間費用は合算で200ドル強が自分の気分だ。しかし現実にはRoon:$119 USD a Year、TIDAL:$19.99 USD a month with lossless High Fidelity sound quality、年間約360ドルとなり、想定とずいぶんずれてしまっている。自宅で仕事をやっているなら360ドルでも高いと思わないのだが、日中は基本的にオフィスにいて、もっぱら人と話しをしているので、この金額では折り合えない。うむむ、もうちょっと様子見をするか、となってしまう。

About TIDAL

support.tidal.com 
まとめれば、いまの自分の生活とRoon(+TIDAL)の費用はまだ折り合わない、というのが今回の結論。状況の変化を待とうということだ。
...もうちょっとコナれてくれないですかね、値段。
 
 
 
さて、今回のメイン、要件の実現(設計)だ。
 
設計その1:DMCの選択
 
自由を何よりも大切にする当家においては、スマフォはAndroid一択であるので、コントローラソフトであるDMCは必然的にBubbleUPnPということになる。
だと端折りすぎだな。選択条件は以下のとおり。
 

  1. もちろん使い勝手などの評判の良いモノ。
  2. OpenHomeにも対応していて欲しい。次のエンハンスの時にコントローラーを切り替えるのはイヤ。
  3. 特定のハードウェアベンダーにロックインされたくない。無料であることや、特定環境での利便性よりも、規格に基づいた中立さを優先する。LUMINやLINNのアプリは(できるなら)避けたい。

 

これに従ってBubbleUPnPを購入したのだ。アタシのスマフォにも、家人のスマフォにも入れた(つまり2ライセンス購入した)。

 

 

設計その2:DMSの選択

 すでにファイル共有のために使っていたNASがDMS機能を提供していたので、そのまま利用することにする。あるものは使うべきだ。正確には記せば、NETGEARのReadynas OSにはUPnP/DLNA対応のサーバーがついてくるので、ひとまずコレにすがることにするものである。

 
ここで

www.iodata.jp

www.dela-audio.comに心が揺れるようであれば山籠りでもして(片眉も剃って)、精進潔斎をしてこねばならないのだが、幸いにもそういうことはなかった。多くは語らないが、こういう商売ってどうなんだろうね。リアルタイム性はないんだからジッタも再送も受け側(DMRなど)のバッファで吸収されちゃうでしょうに。アイソクロナス(※)にデータを垂れ流しているUSB DACの接続とは訳が違うのだ。
そのUSB DACだが、ダイレクトに繋げるよという機能拡張をI/OもMELCOもやっている。これまた理解しがたい展開だ。オーディオセットのすぐ隣にNASを配置したいの?アタシゃ御免だ。たとえSSDであっても、ファンレスであっても、NASなぞはマシンルームにいれば良いのだ。

※再送などのない(つまり取りこぼし御免の)USBのアイソクロナス転送だが、それでもアシンクロナスモードだとDAC側がより高精度なクロックを用意してそれに合わせたフロー制御を行うことができる事は知っている。それにしたって一発勝負の転送なんだから、再送ありのTCP/IPとは話が違う。

ところでアイソクロナス転送のモードの一つにアシンクロナスモードがあるのだけど、もうちょっと整理した名前をつければという気がするのはアタシだけだろうか。あれはハード屋さんのセンスだなあと思うよ。ソフト屋の気分じゃない。

 

 

 

設計その3:DMRの選択

 問題はDMRだ。USB DACとして利用していたパイオニアのN-70Aは、元々がネットワークオーディオプレイヤーであるのでDMRとして扱うことができるのだが(しかし先に述べたとおり、OpenHomeには対応していない…)、その他にはUSB DACが5台あるのみで、DMRを実行する何かが必要となる。もっと平易な言い方をすれば、こうだ。
電源を入れっぱなしにして構わない程度の低消費電力のLinuxBoxと、その上で動作するDMRソフトウェア(できればOpenHomeのレンダラーでもあって欲しい)の組合せは何がベストか?評価指標は1.費用(手持ちのUSB DACへの接続性も費用に換算する)、2.安定性、3.製品の継続性の三点。
その結果、Raspberry Piと、その上で動作するVolumioというディストリビューションを選定した。Raspberry Piはラズパイと発声されるくらいにポピュラーなLinuxハード(ボード)。ストレージにするMicroSDは別途用意するにせよ、その他はオールインワンで売価約5000円は安い。

(本家サイト)

www.raspberrypi.org

(解説サイト)

Raspberry Pi - Wikipedia

 

そしてDMR機能を提供するソフトウェアは、OSとその他ソフトがすでに一体の配布物となっている(ディストリビューション)Volumio。

ただしVolumioはの総体はDMS、DMC、DMRの三機能すべてを含むものであって、その中のDMR部分だけを使おうというのが今回の作戦である。

too muchなのではないか、という突っ込みがありそうだが、いやいや、インストールが楽(バイナリを焼くだけ)、情報が豊富というのは何者にも代えがたい美質だ。

Volumioを作ってる人がその使い方で喜ぶかというのは別として。

 

(本家サイト)

volumio.org 

…WEBを見てみてら、いきなりShine On You Crazy Diamondが目に飛び込んでくる。ああ、ここにもIMMWが。どうしよう、周。いや、おちつけ。

IMMWについてはこちら。

septiembreokbj.hatenablog.com

ともあれ、このVolumioを使うことで、USB DACUPnP/DLNA対応のDMRとして扱うことが出来るようになる。

しかも! 最新のVolumioはupmpdcli をデフォルトで動かしてくれるので(先達は手動で入れたりして大変だったみたいだ、南無)、playlist問題に関しては悩む必要がない。

(upmpdcliについてはこちら)

An UPnP Audio Media Renderer based on MPD

 

playlist問題というのは、ピュアなDMRは自分でプレイリストを持たず、DMCからの指示に従って動くという仕様に起因する問題である。するとDMCが終了したり、スリープしてしまったりしたときに、音楽の再生もまた止まってしまう事になる。この仕様はスマホアプリとの相性が極めて悪い。スマホアプリは隙あらば止まるからである。

Windowsアプリと違って表示されていないアプリはプロセス的には死んでいるので、DMRに指示の出し様などないのだ。Androidはそれでもまだ電池の消費さえ気にしなければやりよう(プログラムの作りよう)はあるが、iOSは最近の改訂で本当にstrictになってしまった。PortFowardingがまともに動かないのってどうだろう。...また、話がそれた)

しかしVolumioの場合、upmpdcliがプレイリストを引き受けてくれるのでplaylist問題に悩まされることはない。その代わりと言っては何だが、プレイリストの転送時間幾分いらっとさせられるのだが、いや、それですむなら安いモノである。N-70Aをちょくに使うとplaylist問題に引っかかりまくりで、そのときに感じたフラストレーションに比べればどうということは無いのである。

 

 

 

ああ、今回で終わらせるつもりだったのだけど、力尽きてしまった。

あともう一回、Volumioの設定のポイントと、補遺を記して完結させたい。

 

 

 

では、最後に今日の一枚を。

  

慶一さんですね。インダストリアルではない金物系の音が聞きたくなって掛けていますが(※)、もちろんそれだけのアルバムではありません。EIGHT MELODIESも、SMILES and TEARS 2010(やくしまるえつこ!)も、その他、全編ああ慶一さんだなあという感じの2枚組。確実にファン向けのアルバムですが、そういうマテリアルを通じて、ファンはアーティストその人への理解を深めていくのです。へー、そうなんだ、とか。

※FF-165WK

FF165WK | FOSTEX(フォステクス)の高音部がひずむのが嫌いで(みんな気にならない?)、Monacor DT-350NFを2Kのクロスオーバーで繋いで使うというなんだか邪道なスピーカーを最近使っているのですが、これが割合に具合が良いのです。で高音の抜けが気になるアルバムを掛けて、アレコレ調整をしています。

ちなみに箱はTDB16ですね。この上にツイータースタンドにマウントしたDT-350NFを乗せている訳です。

 

ところでこれを聞いていたら、去年の10/13に上野洋子さんが金沢蓄音機館でヴォイスパフォーマンスをされて、その会場の一番うしろに慶一さんが座ってらしたのを思い出しました。アタシの席の隣の、隣だったのです。ああ、ほんとに記録に残しておかないと色々ヤヴァい感じです。

(そのときの告知WEB)

www.nightkanazawa.com