all things must pass

記録と備忘録による自己同一性の維持を目的とするものです。

2/10 JALのシステム改悪 c/w 楽天トラブル

あの日から一年経ってしまうことを何らかの形で整理するために、家人と一緒に白井良明さんのライブに行くことに決めたのは去年の9/3の事だった。

 

良明さんは2017年にプロ生活45周年、ムーンライダーズ加入40周年となるダブル・アニヴァーサリー・イヤーを迎えられて、ソロを出したり、ライブハウスサーキットをされたりの大活躍で、旧年9/3には、金沢はもっきりやでファンの集いも催されたのだった。

septiembreokbj.hatenablog.com

MOONRIDERS FAMILY TRUSTに入っているので会員向け先行予約でチケットはさくっと押さえられ、それに合わせて飛行機とホテルのセットもの、「JAL楽パック」を楽天トラベルで予約したのだった。45日前以前の予約だと、(まともなホテル2泊3日分+JALの往復チケット)×2人で6万円強。これは安い。

もちろん「おとなび」が使える歳になってしまっている私どもとしては、これを主軸に考えるという途も無くはないのだが、使用日の一月前にならないと買えない(オレ、忘れっぽいんで日が決まってるのは苦手なんだ...)、馬鹿みたいに混んでいる金沢駅の緑の窓口に行列しなければならない(このまえ一時間攻撃を喰らった...)、22000円x2=44000円はいいとしてJAL楽パックとの差額からするとホテル予算が一泊5千円/人になり出張と同じかそれ以下のレベルになってしまう(ビジネスじゃないんだ、メモリアルトリップなんだ、匂いが染みついて取れないバスルームとか、ボコボコのベッドとか、そういうのはゴメンだ)、などなどでやはりJAL楽パックしかないだろうという結論になったのだ。

(おとなびはコレを見よ)

tickets.jr-odekake.net

ちなみに、予約を取り終わってずいぶん経った頃に上記WEBを別の用事で見直したところ、2/12は「おとなび」の期間外だということが判明。無駄に頭を使ったとみるか、自分の中の費用対効果の物差しおよび物事の優先順位の再確認をする機会を得たとみるか。ま、後者ということにしておく。

 

 

さてさて、そのような訳で、アタシと家人は楽天トラベルが販売するJAL楽パックを使って2/12に浅草公会堂で催される白井良明さんのライブを見るために東京に赴くのであるけれども、そのためには何しろ小松空港に行って、飛行機に乗らなければならない。

どうやって小松空港まで行くか。普段ならまったく気にならないこの設問も、この一週間はまったく異なる意味合いを持ち、最悪往路のJALチケットを放棄してでも(そして片道分の北陸新幹線の代金を追加で支払うことになってでも)東京に向かうという後退不能な絶対防衛線的な覚悟を固めるまでに至っていた。

幸い、雪もやみ、幹線道の通行も確保されており、家の雪山から車を掘り返して表通りまで出ることも目処が立ち、最大の問題は解決される見通しが立ったのが昨日のことだった。予定通り、明日は小松から飛行機に乗れる。よかった。

そしてワインバーグの法則が発動するのであった。

ジェラルド・ワインバーグ - Wikipedia

ルウディーのルタバガ法則
第一番の問題を取り除くと、第二番が昇進する。

 はっはっはっ、その通り。

 

今回昇格した二番目の問題は、JALのタッチ&ゴーというサービスが何をどうやっても使えるようにならないという事だった。

see this!

travel.rakuten.co.jp登録したスマホがあれば、カウンターにもよらずにチェックインできるという便利なサービスで、コレ無しで飛行機に乗るというのはもう考えられない。使い始めて何年になるだろうか。

ただこれを使うには一つ儀式があって、JALの予約サイトから「タッチ&ゴー」の選択をしなければならない。というわけで、ブラウザを開き予約を選んで指定をしようとしたところ、予約が見つからないという自体に直面したのであった。

無い、無いではないか。

 

落ち着いてサイトを眺めれば、「JALからの予約」、「JALパックの予約」、「その他のツアーの予約」と区分を選んでから表示するように変わっている。JAL楽パックは「その他のツアーの予約」かと諒解し、そのタブに切り替えるのだがそこにも予約は表示されない。そこで日時、便名、予約番号、搭乗者氏名をわざわざ入力し(※)、検索ボタンを押下すると、よかった予約が表示される。

※以前は、こんな手間は必要なかった。楽天JAL MILAGE BANKの会員番号を登録すると、JALサイトでは何も言わずに表示されていたのだ。

 

なんとレベルの低いことで喜んでいるのだとあきれる事なかれ。IT屋であるところのアタシは、一見完璧に見えるシステムにも実は深いクレバスが幾つも潜んでおり、それに落ちると、場合によってはカフカの審判よりも理不尽な目にあうということを経験上熟知しているのだ。完璧に見えるシステムのほうが、いざというときにはサポート窓口が高飛車だったりするということも。うちのシステムに問題なんかありません、そんな話聞いたこともありません、お客さん失礼ですけどクレーマーですか?録音してますよ。

そういう調子の担当に当たって、不具合の再現確認を向こうがやり始めると一時間などあっという間に飛んでしまう。そう言う奴に限って、事実をねじ曲げる事を延々と繰り返すのだ。なおこの場合のシステムはITシステムに限らない、本義の意味のシステムで、販売プロセスやサポートフローなどが発狂しているというのも含まれる。それがために、二度とASUSの製品は買わないと決めている。

いや、またドリフトした。

 

さて、予約が表示されたので「タッチ&ゴー」の指定をしようとすると、いつも見慣れたボタンが画面上に存在していない!またか、またなのか、またクレバスなのか?

そこから一時間、ああでもない、こうでもないとJAL楽天トラベルの間を行ったり来たりしながら格闘してみたのだが、何をどうやっても状況が変わらない。ようやく諦める決心をして、担当者につながるまでに待ち時間も含めて22秒ごとに10円がかかるJALの電話サポートに連絡を取ることにする。回線がつながってから担当者がアサインされるまで待たされること10分(ということはそれだけで三百円か!!!!)、ようやく登場した担当者に縷々説明をすると、あきれる他ない事実が判明。

  1. 他社経由のツアー申し込みは、スマホ経由のタッチ&ゴーは出来ない。だからボタンが無い。
  2. これは昨年11月のシステム改修によるもので仕様と理解している。
  3. お客様からの苦情があるのは承知しているがあしからずご了解いただきたい。

またかよ、クレバスだよ。

ただし普通のクレバスと趣が異なるのは、事象を認めるまでの異例の早さと、それとセットの間髪を入れない謝り方だ。普通この手の話は、問題があることを認めないし、事象は理解したと言っても最後まで謝らない。ということは、すでに大量に指摘が発生しており、かつ仕様と言い切って免責事項の説明をし始めると大いにもめるという知見が共有され、窓口にさっさと認めて謝れという指示が降りてきているとしか思えない。でなきゃああも逡巡も無く謝れるものか*1。謝られたということに対してではなく、簡単に謝らざるを得ないという状況になっていることにimpressされたアタシであったので、「せめてWEBにはきちんと説明をするようにクレームしておくから応対レポートには必ず残しておいてね」とジェントルに電話を切ったのだが、そのあとでこの一連のやりとりには不思議な違和感があることに気がついた。

もちろんちょっと考えられないシステム改悪である。サービス仕様を変えるなんて。しかしそこに違和感がある。なんとなれば発注者側の顧客(今回はJAL)の担当者が以前の仕様(サービスレベル)を墨守するしてことにこだわるのが(そして費用が膨れ続けてITベンダーが泣かされるのが)過去によく見てきた話であって、特にBtoCやBtoBtoCのカスタマー向けの顔を持っているシステムの改変というときにはほぼ間違いなくそれが起きる(それが良いとは言ってないので誤解無きよう)。しかし今回に限っては、仕様変更やむなし、後退なし、という企業の態度が伝わってきた(ような気がした)。なぜなのだろう。そもそもこの改悪はどこのベンダーがやったのだろう。

それを明らかにするために、「JAL システム ベンダー」でググると、すぐに答えが見つかるのだった。

 

itpro.nikkeibp.co.jp

itpro.nikkeibp.co.jp

ああ、コレなのですね。

現行システムのうち、米IBM製のメインフレーム上で稼働している予約・発券・チェックイン処理などを、スペインのアマデウスが提供するクラウドサービス「Altea(アルテア)」へ移行する。

自前システムを捨てて、有り物のクラウドサービスに移行する、引っ越し先にないものはサービスダウンでもあきらめる。

ビジネスのロジックとしては、判る。自分もその局面なら同じ判断をするだろうな。でも、それと同時に周知の手配をこれでもかという位に準備するだろうな。一度あきれたお客さんは、中々同じレベルの顧客ロイヤリティにもどってくれないからだ。

 

二年ほど前だから、JALが復活して顧客の方を向いた良い会社になったと言われ出したあとの事だ。金沢に帰るために羽田の出発ゲート前でClass Jの空席待ち受付が始まるのを待ってたアタシはなんだか嫌なものをみた。受付のシステムを「偉い人」に説明するための社員さんの一群がやってきて、機材到着遅れでいらいらしながら待っている我々を尻目に、楽しそうに語らい、笑い、説明の出来に満足の意を表明した「偉い人」をアテンドしながら去って行ったのだ。約10分の出来事だった。その間、彼らはすでに30分遅れてイライラしている我々の方を一切見ることはなく(それも忝さから目をそらすのでは無く、まったく目に入らないという様子で)、社内のオフィスで打ち合わせをするように語らい、笑っていたのだった。幾分大きめな声で、いつ乗れるんだとカウンターのスタッフに問い詰めていた人もいたのだけどね。ああ、JALJALのまんまだなあと、そのときに痛感したのだ。「稲森」さんがいくら立派なことを言っても、JALJALなのだ。

 

そのような事を思い出したところで、本稿はいつものごとく唐突に終わる。システムの仕様ってのは永遠に変わらないものじゃないし、実現するのに馬鹿みたいな金がかかることになってあきらめるのもごく普通のことだ。ただ、それをきちんと告知できないというのは全然違う次元にある。サポートの応対マニュアルを書き直している暇があったら、さっさとWEBのコンテンツをもっと親切にすべきだ。当たり前のことができない会社は、きっとまた危機に陥るであろう。悪口?いやいや、素直な気持ち。

 

 

では明日の小松空港行きに向けて車の発掘をしよう。「何とかなりそう」と「何とかなった」の間には無限の距離があり、それを飛び越えるには実行が必要なのだ。

夕方までには、なんとか。

 

 

 

(追記)

と、与太話を書き飛ばして、車が出せるように雪をどかして室内に戻ってきたら、なんだかJALからメールが届いていたのだった。何だろう、まさかアタシの心を読んだわけでもあるまいに等とドキドキしながら開封してみると、うーむという内容が。かいつまむとこんな感じ。

  1. 小松発便の搭乗前日のお客様にお知らせします。
  2. 小松空港サクララウンジは昨年12月から改装に入っていて、3月まで使えません。
  3. ついては飲食店で利用できるチケットをお渡しするのでチェックインカウンターにお声がけください。

 ラウンジが使えるステータスなので、告知のメールを送ってきたのだと思う。思うのだが、なんだか釈然としない感じ。

調べると

【お詫び】改修工事に伴う小松空港サクララウンジの閉鎖について - JAL

というページは用意されているのだけど、ここページ自体がラウンジ案内ページに行かないと見つからない。あ、あと171124_kmq.htmlというページのhtmlリソース名で探すとfacebookからもリンクしてたね、まあその位しか露出していないのだ。

(ちなみにkmqは小松空港のコードね)

 

...保育園がうるさいから反対などと暴れた「世田谷区」のゴミと同じようなレベルの難癖の付け方かしらと思わなくもないけど、でもねもうちょっと情報提供は何とかして欲しいと思うのですよ。たとえ前日でもメールがくるのは助かる。知らずに行って、手荷物検査を過ぎた後で(つまり飲食店に戻れなくなった状況で)ラウンジが無くなったことが判ったら、大暴れをすること必定であって、それはアタシにとっても、JAL職員にとっても、間違いなく不幸なことである。それが避けられたのは確かにベターだ。しかしそんな重要な情報(アタシにとってはね)、直前のメール一発で済まされてはかなわないのだ。もしこのメールを読み飛ばしていたら、と思うと幸せな気持ちにはなれない。

などと考えると、何度もしつこく送ってくる搭乗のリマインドメールに記載されているのがありがたいのだが、しかしそうはなっていない。ラウンジを使えない人にはそもそも知らせたくないのだろうな、という意図が透けて見える。正確には、リマインドメールの文面を条件によってモディファイする機能がないために、必要な人への情報伝達の確度向上と、必要ない人をあえて刺激することのリスクを比較して、後者を取ったのだろうな、と。いや、そんな面倒なこと考えてないかな。個別に送ればいいや、みたいなノリだったのかな。

等などが脳内を去来して、なんだか釈然としない感じと相成ったのだった。

 

よくまあ、ぐだぐだ書くねえ。自分でもあきれるやら、あわれになるやら。

 

*1:みなさんご承知の通り、サポート窓口は謝ること一つとっても自分の意思では行えないのだよね。勝手に謝ったら会社が謝ったことになってしまうから。まあ、そりゃそうだ