all things must pass

記録と備忘録による自己同一性の維持を目的とするものです。

10/1 地方紙の面白さ

地方紙の面白さは、その地方の記事にある。

と言っても、生活に密着した情報が入ってくるなあ、などという事ではなくて(新聞社自体はそういう宣伝をしているのだけど)、自分が知っている別ルートの情報とクロスチェックを行うことが出来るあたりにある。

一致していれば「はあ、なるほど」だし、そうで無いときにはどこかに誰かの意図が存在するヒントになる。ポリティクスや謀略を愛でる楽しみは、別に全国紙などでなくても十分に楽しめるのである。

 

ということで、最近面白かったネタを二つ記録に残しておく。2018/9/28は北國新聞の当たり日なのであった。

 

1.「新幹線効果一巡」

(2018/9/28付けの北國新聞3面より引用)

[見出し]

新幹線効果一巡 ピーク時55件 今年度35件

学会誘致伸び悩み

補助や旅行PRでてこ入れー県

...中略...

 

[本文引用]

各地で学術大会や国際会議を手掛ける「日本コンベンションサービス」(東京)によると、石川県はイベント会場や宿泊施設が金沢市中心部に集まっていることから、学会の分科会などを複数の施設で分散開催することに適しているという。

...中略...

 県の担当者は「学会のキーマンに金沢のいい印象を持ってもらうことで、さまざまな規模の学会を誘致したい」と話した。

これだけ読むと、そうなんだ、県は頑張ってね、という気持ちになる。

しかし、別の所から得ている情報(旅行代理店を含む複数ソース)によれば、

  • 金沢に学会が呼べないのは、会場が無いから。
  • 参加者からすると施設を分散で行うというのは面倒なだけ。参加者が迷うという問題が少なからず発生している。
  • 大規模学会だとバンケットを行う場所すらない。

なのだそうで、金沢の印象が良いとか悪いとかではないとの事。

さて、どこがディスインフォメーションをしているのでしょう。県、JCS、それとも?

こういうのはワクワクする。要静観。

 

 

2.「新幹線効果一巡」

(2018/9/28付けの北國新聞5面より引用)

[見出し]

 近江町市場に翻訳アプリ

外国人客に活用、混雑回避

こっちは長いのでざっくりまとめる。

  • 金沢市の近江町市場で訪日外国人の接客向けに、NICTが作ったボイストラを使うことになった。

    voicetra.nict.go.jp

  • これは北陸総合通信局の勧めで行われたもので、酒店、呉服店の二店で導入。
  • ボイストラは2020年までは無償で利用できる。

これも、記事だけ読むと、そうなんだー便利になるといいねー、的な気持ちになる。

しかし、別の情報を知っていると全然違った風に見えてくる。

  1. ボイストラが無償であるために、翻訳アプリのビジネスに参入しづらいという状況がある。NICT自身もサードパーティーの商用利用を想定しているのだが(

    http://voicetra.nict.go.jp/contact.html)、それをボイストラ自身の無償版が阻んでいるのである。

  2. 総務相自身がNICTの成果物を使ったビジネスが立ち上がることを強く求めている。

  3. 通常この手の話は、地域を単位に補助金をつけて然るべく行う(ところが本件は対象が二店舗のみだし、調査だの、実証だのといったキーワードが誌面に現れていない)。

本件は、①総務省の中にも別のラインがあって有償化を妨げようとする動きがあるのか、それとも②各地方の通信局はもともと勝手に動くものなのか、はたまた③担当職員とお店の個人的な付き合いを新聞がフレームアップしたのか、様々な取り方が出来るが、何しろオリンピックめがけて多種多様がプレーヤーが入り乱れてビジネスの準備を進めている現況において、耳目を集める一石であったのは間違いない。「何だ、こりゃ?!」的な。

こんど東京に行って答え合わせをしてこようと思いましたですよ。

 

 

というように、地方紙の地方記事には面白さがあふれている訳です。

...だから出社がゆっくりになると言っている訳では無いので念のため。