all things must pass

記録と備忘録による自己同一性の維持を目的とするものです。

2017/03/17

悲しみの秘儀を再読。

すごく良い本。
これは家人の職場の人が、今度のことについて少しでも慰めになればとくださったもの。こういう思いやりのある人になりたいものです。
大切な人との別れがあった人、かけがえのないものを喪った人、耐え難い悲しみと向き合わなければならないすべての人におすすめします。

と、ここまでほめておいて何だけど、再読したのはもうちょっと違う理由もあるから。それは耐え難いことや、奇跡や、我々の日常を切断する何かと出会ったときの人間の姿勢ということで、別の言い方をすれば信仰の有無のこと。
ある希な出来事を、神が試していると取るのか(まあ、そこまで正面切って言語化する人はホントにプロパーさんですが)、それとも確率の暴力としてしか捉えられないのか、その辺りに信仰を持てるか否かの境目があるなあ、ということを再確認しました。
後者であるワタシとしては、信仰ができる人が何となく羨ましくもあり、とはいえ、神が人間に興味を持っていると感じられないのはどうしようもないので(だから確率に見える)、そういう疎外を抱えてやってくしかないのだな、と諦めがつきました。
そこまで考えさせられたというのは、やはりとても良い本なのだなあ、と。帯の俵万智の推薦文のウザさはどうだろうとも思いますが。

 

 

 

若松英輔エッセイ集 悲しみの秘義

若松英輔エッセイ集 悲しみの秘義