all things must pass

記録と備忘録による自己同一性の維持を目的とするものです。

2/11 モンベルにおどろく。

インドの覚え書き最終回とか、目黒にあった異変とか、そう言うのを書いとかなきゃと思いつつグッタリしてたんだけど、あんまりすごい事があったので、それだけはスポットで残しておく。
モンベルのポイントカード勧誘の限りなくブラックに近い色合いに驚いてしまったのだ。



以下は、その顛末。


今日の事だ。
金沢駅前のモンベルで、以前から狙っていた1.5万位のカバンを買おうと商品をつかんでレジに並んだところ、ポイントカードお持ちですかといつものクエリーを受けた。モノを買おうと外にでている位だから、心のユトリが無いわけではない。それどころか今この瞬間に限って言えば、モノを買うという決心をした余波で、何となく気持ちが高揚している。なので、いつもなら即座にノーサンキューというところだが、今日は話を聞いてみても良いかと思ったのだけれども、もちろんそれが間違いの始まりだった。

「ポイントカードお持ちじゃないのでしたらお作りになりませんか。今日からポイントが貯められますよ」と販売員の女性の方。
「費用とかかからないの?」とワタシ。
「会費は1500円ですけど、一万円買うと1000ポイントくらい付きますから、すぐに会費分元が取れますよ」と立て板に水のセールストーク。しかし位ってのはどういう意味だろう?消費税分にポイントが付かないということを説明するのが面倒だということなんだろうか、確かに面倒な客は一定数いる。
「ふーん。ところで申し込みをすると初期ポイントとか付かないの?1500円って結構立派な会費だよね」とワタシ。
「あ、最初に500ポイントを差し上げてます」と販売員氏。
なるほど、会費に1500円払って、初期の500ポイントもらって、それで1.5万のカバンを買ってポイント還元あって、その還元率は一万円で1000ポイントだから10%ということは今回のカバンで1500
ポイントをゲットして、つまり今日だけで2000ポイントが手に入る訳だ。
それじゃ入会を考えてもいいね。個人情報をさらすからには、明確な対価を求めるのがワタシの主義だ。いつかは得になるかも、という幻想と引き換えに個人情報をさらすのはまっぴらゴメンだ。ネットならまだしも、リアル店舗の場合には、目の前にいる販売員氏などに個人情報とワタシの顔の結びつきが判ってしまうという気持ち悪さもある*1

まあ今日は空も晴れているし、良い日じゃないか。建国を言祝ぐために、普段見ないような街宣車も繰り出してくるような素敵な日じゃないか。
よし、差し引き500ポイントのプラスのために、珍しい事だけど個人情報を売ってみようじゃないか。

「じゃ、申し込みます」

レジを済ませるときには仮発行のカードを使い、精算を済ませた後にポイントカードの正式な申し込みをするとのことで、指示に従って支払いをすませた。
ポイントカードの申し込みの担当は、さっきの販売員氏ではなく別の人だった。その担当氏がタブレットに個人情報の入力をするように求めてきた。あれれ、いきなりデータの入力なの?申し込みに関する諸条件を説明した紙は?
いや、説明は紙でも電子データでも何でも良いんだけど、口頭でぺらぺらっと説明したあといきなり入力ってどうだろう?

もちろん良き企業人であるところのワタクシは、契約事の最後のチェックには時間をかけるようにしている。例え後ろに行列ができようと、それはワタシの問題ではない。契約に同意をしたら取り消しは効かないのだから、その責任を負うことになるワタシとしては、ワタシを守るために納得がいくまで確認をしなければならないじゃないか。
そのような訳で『いまが転回不能点だ、さて、もう一度確認をしようじゃないか』という呪文を(心の中で)詠唱し、丁寧に説明を求めることにするというシーケンスを開始した。

最後は説明書の提示をもとめるにせよ、まずは小さな所から。さっき買ったカバンのポイントがレシートに記載されていないのだ。
「すいません、今のポイント残高ってどこを見れば判ります?」とレシートを差し出すワタシ。見えていないのはワタシだけかも知れないじゃないか、丁寧に訊いてみようじゃないか。
「すぐに反映されてないのでレシートに載らないんですよ」と担当氏。はあ? どこのFXXKシステムを使ってるの?ホントに登録されてるの?
「えー、判らないのは困りますね。いくら付いてるか知りたいんですけど」と食い下がると、とんでもない返答が。
「5%還元ですから、15000円の5%ですね」
はあ?5%?
「はあ?」思わず声に出してしまった。説明書の提示とかそんなレベル以前の話だ。
「あ、初期ポイントは別に500付きます」いや、そんなこと訊ねてない。
「いやいやいや、10000円買うと1000ポイント くらい 付きますって、そこの販売員さんに言われたから申し込みしようと思ったんだけど、話ちがわない?」それでも今日は良い日だったので、幾分のアドレナリン分泌が感じられる程度の声だった筈。つまり大声だったりした訳じゃ無い。
ところが次の瞬間、担当氏ではなく責任者っぽい人が割り込んできて、
「すいません、担当の説明が悪くて誤解をさせてしまったみたいで」と話を丸めようとする。
は?説明が悪い?明示的な還元率説明がない以上、『10000円買うと1000ポイント くらい バック』が還元率説明の実体だと解するのが普通じゃないの?なので、ストレートにそう言ってみた。
「10000円買うと1000ポイント くらい 付きますって10%還元って意味じゃないの?明確に数字で還元率を相説するように指導してよ。詐欺みたいじゃん」
「10000円買うと5%還元で500ポイント、それに初期ポイントの500ポイントで1000ポイントという意味でした」とモゴモゴした説明をし始める責任者っぽい人。


そうか、では今日1500円を払うと1250ポイントが手に入り、250ポイントのビハインドとなるのだな。元を取ろうとすると、別の日にモンベルに対して追銭することを意図しなくてはならないのだな。そういう計画を人生に組み込めというのだな、モンベル
おお、君たちが何を考えようとそれは君たちの勝手だが、明確な情報提示をせずに他人に意志決定を求めるというのはどうかと思うぜ。もしかして何も説明する気がない?
うーん、これは個人情報を預けるに足る会社じゃない。ポイントの確認をしてから書面の提示を受けて、納得してからデータ入力を、と思ってたんだけど、そういう常識が通用するレベルではないね。

と思って、見切りをつけるまでに0.1秒。
「そんな適当な説明で個人情報が絡む話をされても困る。説明の書面も何も提示せずに、そのまま申し込みってありえなくない?ポイントカードの申し込みはやめるからレジ打ち直して」荒げこそしなかったけど、本当にやってられないというトーンで話した。ああ、こんな声出したくなかったのに、また消耗してしまう...。
そこから先の話は早く、レジの打ち直し自体は普通に終了して、1500円を返金してもらって店をでた。
リアルの店舗でモノを買うというのはこんなに面倒だったかねえ、と鬱に入りそうになってしまってけど、モンベルの商売の仕方が面倒なだけで*2、リアルでモノを買うということ自体はエキサイティングな筈よ、と思い直してカバンを抱えて帰路についたのだった。



なお、申し込み直前のやりとりの間、販売員氏は近くにいた。多分一切が聞こえていた筈なんだけど、こちらもどう思っていたものか。
もちろん『知りたくないの』なのだけれども。

*1:ネット登録の場合、今のところはまだ顔写真の提示は求められていない。

*2:毎回ポイントカードの勧誘ウザかったんだ、ホントに。まさかその先までウザいとは...。おそらく面倒な客だと思われたのだろうけど、こっちもモンベルリアル店舗はどうしても欲しいものがモンベルにしかなかった場合のショーウィンドウと割り切る決心がついたのであった(そしてどうしてもモンベルじゃなきゃならない事がハッキリしたらモンベルのネットショップから買う)。昔からここの接客には(お上品に言えば)違和感があったのだけど、今回切り捨てる決心がついたのはそれはそれで目出度い事だったかもしれない。